さてさて、今回は久々に映画のレビューです。
公開初日に観た映画、というのは初めてかもしれません。
さらに言えば、普段ぼくは邦画はあまり観ません。
アニメの焼き直しとか、しょーもない恋愛映画とか、アニメの焼き直しとか。
興味ありません。
直近でぼくが劇場で観た邦画は、昨年のアニメ「君の名は。」、実写映画に関して言えば3年前の作品「渇き。」昨年の「シン・ゴジラ」以来です。
(2017年9月18日訂正)
あ。
「君の名は。」は恋愛映画ですが、しょーもなくない作品なのでよし。
そんなわけで、ぼくが信頼を寄せている映画好きの友人に誘われて、公開初日に観に行ってきました。
その作品を今回レビューします。
映画「三度目の殺人」レビュー
公開前にはテレビCMも頻繁に流れていたのでご存知かもしれませんが、福山雅治さん主演のサスペンス映画です。
他のキャスティングには、役所広司さん、広瀬すずさん、満島真之介さん、吉田鋼太郎さん、斉藤由貴さんなどが出演されています。
監督は是枝裕和さん。
「そして父になる」、「海街Diary」などの有名作や、2004年に柳楽優弥さん主演の「誰も知らない」という作品の監督もされていました。
ぼくは「誰も知らない」だけは観たことありますが、この作品もかなり衝撃的でした。
今年の「第74回ヴェネチア国際映画祭」コンペティション部門、正式出品作品となったそうです。
この映画祭での上映直後、約6分間のスタンディングオベーションが巻き起こったとのニュースも目にしました。
「約6分間のスタンディングオベーション」て、オベーションするほうも大変だなと思ったりしますが、それは置いておきまして。
世界にも通じる世界観、と言ったところでしょうか。
のちほど詳細も書きますが、観終わったときの感想としては、「リアルだな・・・」という一言に尽きます。
あらすじ
以下、公式サイトからの引用です。
それは、ありふれた裁判のはずだった。
殺人の前科がある三隅(役所広司)が、解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。
犯行も自供し死刑はほぼ確実。しかし、弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は、なんとか無期懲役に持ちこむため調査を始める。
何かが、おかしい。
調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。
三隅の供述が、会うたびに変わるのだ。金目当ての私欲な殺人のはずが、週刊誌の取材では被害者の妻・美津江(斉藤由貴)に頼まれたと答え、動機さえも二転三転していく。
さらには、被害者の娘・咲江(広瀬すず)と三隅の接点が浮かび上がる。
重盛がふたりの関係を探っていくうちに、ある秘密に辿り着く。なぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?
得体の知れない三隅の闇に呑みこまれていく重盛。
弁護に必ずしも真実は必要ない。そう信じていた弁護士が、初めて心の底から知りたいと願う。その先に待ち受ける慟哭の真実とは?
タイトルからも察する通り、サスペンス映画となる本作。
映画の冒頭から、三隅(役所広司)が犯人であるという前提でストーリーが進められていきます。
ストーリーは弁護士である主人公の重盛(福山雅治)からの視点で展開します。
ここで焦点となるのは、犯行の動機。
三隅の周りに潜んでいる人間関係を紐解いていくことで、謎が謎を呼び、観ているこちら側も何が真実なのか分からなくなっていきます。
さらには、本当に三隅が犯行に及んだのかさえも疑わしく思えてきます。
そんな中、裁判の判決は下されます。
何が真実だったのか。
そして、真実を追うことが正義なのか。
結論については、作品を観てご判断ください。
ぼくの感想
まず端的に、面白かったか、面白くなかったかと言うと、今作はとても面白かったです。
観て良かったと断言できますし、まだ観ていない方にはオススメします。
ただし、終わったあとの爽快感はありません(苦笑)
「あー!こういうことかー!」と最後にスッキリすることはないので、そこは覚悟してください。
先ほどにも書きましたが、「あぁ、これがリアルかな・・・。」とそう思います。
ストーリーの軸となる、犯行の動機を探っていく展開自体が見どころではありますが、その他にもリアルな描写が多く描かれています。
まず、主人公の重盛は仕事を淡々とこなす弁護士。
被疑者を弁護するという仕事には真実は必要ないとさえ断言し、いかに仕事をうまく片付けるかということを念頭に置いて仕事をこなすタイプ。
このあたりも「職業:弁護士」としてリアルさを感じるところがあります。
木村拓哉さん主演のドラマシリーズ”HERO”とは真逆の主人公像です。あちらは検事なので立場も逆ですが。
一方、満島真之介さんが演じる川島は重盛の後輩で、希望を信じて疑わないような熱血タイプ。
作中でも、「生まれてこない方が良かった人間なんていませんよ!」とか、まっすぐな瞳できれいごとを言い放つんですが、先輩の重盛にはスパッといなされます。
また、裁判の進捗も、あらかじめ決められているスケジュールに則り淡々と進行されていく様子にもリアルさを感じます。
公判の過程で審議が土台からひっくり返ってしまいそうな局面があるのですが、これについても諸事情により、黙殺されることに。
「なんか、もう少しどうにか・・・でも、そんなもんか・・・。」と言わざるを得ないような、なんとも歯切れの悪い感覚に陥ります。
作品の見どころ
そして見どころとしては、主人公である重盛に起こる変化の様子。
日々こなしていく案件のひとつとして今回の事件に着手するのですが、被疑者である三隅と会話をしていく間に共通点を見つけたり、三隅の発する言動に共感をしたりして、他人事ではないような何かを感じ始めます。
最初は観客目線でも、三隅に対して「なんだこのサイコパス野郎は・・・」と思うはずです。
しかし、作品を観ていくうちに、「あれ?これ、え?もしかして、すごい可哀想な人なの?いや、でも・・・」というように、本当になんだか分からなくなってきます。
完全に観客を困惑させるような脚本も素晴らしいですし、演技をされていた役所広司さんも素晴らしかったです。
それと、広瀬すずさんも地味に良い演技をされていました。
ダメダメな母親とは真逆の、我慢強い女の子をうまく表現されていました。
すずちゃん、すごい。
まとめ
久々に観た邦画、「三度目の殺人」。
かなり面白い映画で、かなりオススメです。
ちなみにぼくの隣にいたおばちゃんは、ポップコーンをポリポリ食べた後、スースー気持ち良さそうに寝ていました。
何観に来たんだよ!
福山雅治目当てかよ!
と、問い正したくなりましたが、よっぽど寝不足だったんでしょう。
そういうことにしておきましょう。
この映画で寝るとか、マジないわー。
ぜひ観て欲しい作品です。
気になったらチェックしてみてください。
ありがとうございました!
▼是枝裕和監督作品、「誰も知らない」。この作品もダメダメな母親が出てきたな。。